妻になります(亜沙美の片想い)⑦
【はじめに】これから、純子の創作「亜沙美の片想い」後日談をお楽しみください。本当は、第13章で終わりだったのですが、遊びのつもりで後日談まで書いてしまいました。性転換はあまり使いたくなかったのですが、女装だけでお話をまとめることができませんでした。
はじめてお読みになる方は第1章からお読みください。
第14章 三つのよろこび
「もうおなかも、いっぱいでしょ。ネンネしてね」
亜沙美は、赤ちゃんが飲み終わった後の哺乳瓶をテーブルに置くと、赤ちゃんを両手で抱きかかえ授乳後のげっぷをさせた。
満足そうな表情で亜沙美は、まだほんの2ヶ月ぐらいの赤ちゃんを抱いていた。小さな口が亜沙美の乳首を吸っていた。くすぐったいというよりも、痛いぐらい強い力で吸い付かれ、まだ歯のない歯茎が押し当てられるので、亜沙美の乳首は本当の女性のように大きく膨らみはじめていた。小さな赤ちゃんの手は、Cカップほどもある亜沙美の乳房を抱きかかえるようにしていた。
哺乳瓶のミルクを飲み終わっても泣きつづける為に、どうしようか迷った亜沙美が自分の胸をはだけて、乳首を赤ちゃんの口に含ませたところ泣き止み、いつの間にか眠りについていた。それ以来、おしゃぶりにしようかと買ってきたが、おしゃぶりでなく亜沙美の乳首でなければ泣き止まなかった。
赤ちゃんのいる暮らしも2ヶ月目。睡眠不足気味な時もあるけれど、夫を仕事に送り出し、朝食の片付けの後、赤ちゃんと二人で過ごす毎日も、これまで以上に楽しく幸せだった。
『ピンポーン』と玄関のチャイムが鳴った。
「あっ、おばあちゃんだわ」と言いながら、赤ちゃんを抱いたまま玄関のドアを開けた。
「おはよう、まだミルクでちゅか」と吉田の妻が赤ちゃんの頬を指で触り、声をかけた。
「お母さん、もう少しで寝てくれそうなんです」
「じゃあ、亜沙美さん。私が見ててあげるから、着がえていらっしゃい」
「お母さん、それじゃあ、お願いします」
今度の週末にはお宮参りをするために、今日は赤ちゃんの散髪をしてもらうのだ。散髪屋さんからは『赤ちゃんがミルクを飲んで、眠っている時の方がいいのです』と言われていた。初めてのことなので、吉田の妻にも一緒に行ってもらうことにしていた。
髪の毛をとかしながら、ファンデーションをつけ、口紅を塗り鏡に映った自分を見ながら亜沙美は2年前の事を思い出していた。
藤沢裕紀の伯母の葬式が終わり、亜沙美も自分自身の退職の手続きが済んだ後、裕紀と二人で吉田の自宅にあいさつに出かけた。裕紀と一緒に居るときはもうずっと女性になりきっていた、何を着るか迷ったけれど、黒のフォーマルの下に似合いそうな、黒い下着のセットを取り出して、ブラジャーを手に取り自分で器用にホックを留めて、次にレースに花柄の刺繍で飾られたガーターベルトを後ろで金具部分を留め、黒いストッキングに足を通した。
驚くほどの薄さと弾力性があって片方の脚に穿いただけでもその肌触りに感激した。最後にすべすべとしたナイロンならではの薄い生地のパンティーを穿くと、その悩ましい黒い布地はぴったりと肌にくっつき、亜沙美の肉茎をやさしく押さえ込んでいた。最後に黒いスリップを身につけて、静電気防止のスプレーをしてから、喪服のスーツを着た。バッグも靴も黒にした。
吉田の自宅の駐車場に着くと、裕紀の運転する車から降りて、黒い服装の二人は玄関に入り、応接に出てきた吉田夫妻にあいさつをした。
吉田夫妻から、葬儀や片付けや手続きの労苦をねぎらわれた。ゆっくりしていくようにいわれ、夕食を一緒にしようと勧められた。
すき焼きのなべを囲んで、ビールやお酒を勧められ、ほっとした和やかな雰囲気の中で思いがけない話が切り出された。
「なあ、藤沢君。私たちにはもう子どもが居ない。できれば養子でも迎えたいと考えているんだが、どうだろう、君が養子になってくれはしないかと思ってるのだが」
「吉田さんのお気持ちは良く分かるのですが、僕には藤沢という家もあります。特に財産があるわけでもないのですが、伯母が管理してきてくれた屋敷と田畑もあります。今度は自分が藤沢の家を継いで行くつもりです」
「そうか、娘との縁談の時も養子にはなりたくないと言っていたね。それでは、私たち夫婦から厚かましいお願いなんだが、亜沙美さんに養子になってもらいたい。私たちの子どもとして藤沢君に嫁がせたい。この吉田の家から私たちの娘として嫁に出したい。亡き娘の雅美の分まで、幸せになってもらいたい」
吉田夫婦に連れられて、仏間に入った。仏壇に飾られていた雅美の写真は双子の姉妹と言ってよいほど亜沙美に似ていた。
「もし君たちが別れることがあっても、私たちのところにいて欲しい。亜沙美さんに、そばにいて欲しいと、妻も私も、強く願っているんだ」
そして亜沙美は、その夜のうちに吉田夫妻の希望に沿うように返事をした。
そして吉田夫妻から、すぐ隣りにある一軒の新築の家に案内された。娘の雅美と藤沢が結婚したら、新婚の二人に住まわせようと建てたその家だった。吉田は、何時からでも暮らせるように用意はしてあるから二人で暮らして欲しいと、亜沙美に鍵を渡すのだった。
飲酒して車に乗るわけにもいかず、裕紀と亜沙美は二人きりになり、寝室で裕紀はスーツを脱ぎ、亜沙美も黒いスーツ、スカートを脱ぎ、黒い下着とスリップ姿になった。
部屋にすえられているダブルベッドに二人は並んで腰をかけた。少しお酒の酔いもあって、裕紀は亜沙美を抱き寄せてキスをした。硬くいきりたった男性の性器の感触が、スリップの薄い布地越しに伝わってくる。
その硬くいきり立ったモノは、男性の生殖の本能というか、みだらな欲望というか、官能のまま正直にその持ち主の心持ちを語っている。亜沙美を抱きながら、カチンコチンに充血して、今現実にここにあるということに、亜沙美はとっても歓びを感じてる。
女装者だからよけいにそう思うのかもしれないけど、普通の女性に感じる欲望をわたしにも感じてくれている、わたしは女なんだという痺れるような、禁断の歓びを感じ始めていた。
ブラジャーを少しずらされて、女として男性から愛撫を受ける立場になると、この乳首に、思ってもみなかった快感のツボがあった。
愛撫されていると自分に乳房があって、男性がそれを弄んでいるみたいな感覚になり、その快感は胸だけでなく背中から腰に、そして下半身にまで達する。
「あ~ん、感じちゃう」
「乳首がかたくなって、立ってきたよ」
「ああっ、いやーん。あぁ、もうダメッ」
「止めたほうがいいの?」
「いやん、ダメ」
「どうしたらいい?」
なんていいながら、裕紀の手はレースに刺繍のある黒いパンティーの上から亜沙美のエレクトした部分に触れていた。悩ましい布地を押し上げている部分を意地悪く撫でさすり、先走りの透明な液がしみてきているのを確認すると、耳元でささやいた。
「ほうら、もうベトベトだよ」そういいながら、パンティーの中に手を入れてきた。
「いやっ、恥ずかしいわ」そういいながら亜沙美も裕紀の下腹部を触った。少しからだの向きを変えて、亜沙美のお口と舌を使って、浅く上下にグチュグチュとピストンして仕返しした。
「あー」と裕紀は声をあげがながら、肉柱に加えられる刺激に快感を感じ始めていた。それからしばらくして、亜沙美はパンティを脱がされて、裕紀に向かって腰を浮かした。
裕紀の腰が迫ると同時に、硬くて太いものがお尻の中に入ってきた。さらにグイと腰を突き熱い肉棒が深く亜沙美のお尻を貫いた。
この下着は、憧れの人である裕紀に抱かれるときに身につけていたいと思って購入したのだと思いながら、裕紀が黒い下着姿の亜沙美に欲情していることに満足していた。二人の新居となる家の二階の小さな灯りは、深夜にようやく消灯した。
「もう、支度はいいかしら」
「はい、お母さん」と自然な感じで返事していた。
「奈緒ちゃん、もうしっかり寝ちゃったから、急ぎましょう」
「はい、お母さんと奈緒ちゃんは先に出てください。私は戸締りをしますから」
伯母さんの前での結婚式から2年、吉田夫妻の養子となり、吉田の用意してくれた新居で藤沢裕紀と暮らし始めた。法律が変わった事で、亜沙美は性転換して、吉田の長男から次女の吉田亜沙美へと戸籍を変更した。本当に吉田夫妻の娘として、結婚式を挙げることもできた。戸籍上も藤沢の妻となった。
さらに2ヶ月前に、吉田の親戚から生まれたばかりの女の子「奈緒」を特別養子縁組にすることができた。藤沢裕紀、亜沙美の夫婦と奈緒の3人家族の戸籍が出来上がった。
女性ホルモンの治療も順調で、体調も良くなり、身体つきも丸みを帯びて、奈緒におっぱいを吸われるようになってから、さらに胸もふくらんできた。
夜の生活も裕紀の方が積極的で、新しい女性自身も奈緒を育てるようになってからの方が、より強くというか深く感じられるようになった。
「今夜は、奈緒ちゃんをうちに連れてこいって、おじいさんが言うのよ。だから一晩だけ奈緒ちゃんを貸してね」そういいながらも、吉田の妻が本当の孫のように可愛がっていて、週に1度は吉田の家にお泊りしているのだ。
亜沙美は夫の勤め先に電話をした、以前の同僚が応対に出た。
「藤沢の家内ですけど」と亜沙美が話していても誰も気づかない、性転換のときに、思い切って声帯も手術していたから。
夫の藤沢裕紀に「今夜は早く帰ってね」と電話で話した後で、しみじみと亜沙美は喜びをかみしめていた。
一つ目は母になれた喜び、二つ目は妻として裕紀と結婚できた慶び、三つめは女になれた悦び。
亜沙美はあのランジェリーショップに入りながら『今夜は、彼と二人きり。思い切りエッチなことを楽しんじゃおう』と幸せそうな表情だった。
《 終わり》お読みいただきありがとうございました。 目次へ
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コメント
感動しました、最初は、え~って言う感じでしたが、何かジーンとくる感動です。儚さや、思いが、凄くつたわりました
投稿: 純 | 2009年6月20日 (土) 23時51分