女装をやめる時(女装断絶の修業)⑥
【第6章 涼子の夢】
修業を始めてからずっと元気だったのが、二日ほど前から身体がふらふらして昨夜は寒気がして起き上がることもできなかった。
「佐藤君、お加減はいかが?」
「まだ少し熱があるようで」
「そうね、今日も大事をとって、道場でのお勤めはお休みにしてもらうわね」
「はい、すみません」
「まだ少し熱があるようで」
「そうね、今日も大事をとって、道場でのお勤めはお休みにしてもらうわね」
「はい、すみません」
西川導師の奥さんが、枕元に朝の食事として、おかゆに佃煮、梅干、だし巻き玉子、味噌汁を持ってきてくれた。
食べられるものだけを口にして、薬を飲んで再び眠りに付いた。
どれぐらい眠ったのだろうか、僕は汗びっしょりで布団に横たわっていた。布団から起き上がると身体は汗でねっとりしていた。浴室に入りシャワーを浴びた、身体のふらつきもなかった。シャンプーで髪を洗いながし、トリートメントでさっと洗髪を終えた。
バスタオルを身体に巻きつけて浴室から出た、いつもは閉じている隣の部屋が開いていた。ひんやりした部屋の中には、女性用のカラフルな下着が詰まった箱があり、見覚えのあるものだった。
まず箱の中から取り出したのは、薄いブルーの下地にピンクの花模様でブラ・ショーツがお揃いのイマージュ、特にショーツはサイドがストリングの三つ編み。お気に入りだったけど、あまり身につけるチャンスがなかったもの。
ショーツは下半身にぴったりフィットしている、ブラジャーもパッドを一枚入れて後ろでホックを留めてみる、ここまで身につけてみると胸をきゅっと締め付けるブラジャーの感触がとても気持ちいい。
箱の中から、太ももまでのガーターストッキングを取り出して、いつものようにつま先から爪を引っ掛けたりしないように、太ももまで引き上げて、もう片方も同じように穿いてしまうのでした。
「やっぱりガーターが、あった方がいいかもね」
他の箱から、何種類かのガーターベルトを取り出した。そして一番マッチングするものを選び、腰に合わせると、あとはストッキングをそれぞれの留め具に固定した。最後には、これもお気に入りのスリップ、豪華な刺繍のあるワコール・サルートです。
ここまでのつもりだったのが、浴室にある鏡をみたくなってミラーに写る自分の姿を見ました。身体のライン、可愛い真っ白なキャミソール、悩ましいストッキング、もうここで止めることができなくなってしまいました。
ウイッグに化粧品を取り出して、化粧水、乳液、ファンデーション、マスカラ、アイシャドー、口紅、グロス、いつものお気に入りの香水、すべてがそろうと決心したように自分の顔をメイクする作業を始めていました。
浴室のミラーの横の窓からは明るい日差しとさわやかな風が入ってきました。メイクに続いて、最後はウイッグをいつものように位置合わせをして、少しブラッシングすると終わりです。
ミラーの中には涼子がいました。居たというよりも、涼子になりたかったのです。
鏡に映る涼子は微笑んでいました。
鏡に映る涼子は微笑んでいました。
「涼子、あなたなの」
「そうよ、涼子よ。あなたが涼子を捨てようとしたから悲しかったわ」
「ごめんなさいね、涼子のこと、実は居ない方がいいかと思ったの」
「ひどい、そんなに涼子を嫌い」
「ううん、よくわかったの、涼子の存在が大切だって言うことが」
「そうよ、涼子よ。あなたが涼子を捨てようとしたから悲しかったわ」
「ごめんなさいね、涼子のこと、実は居ない方がいいかと思ったの」
「ひどい、そんなに涼子を嫌い」
「ううん、よくわかったの、涼子の存在が大切だって言うことが」
「じゃあ、これからは、もう二度と涼子から離れない?」
「涼子になりきって暮らしたいの」
「じゃ、いつも涼子でいてくれるの?」
「そうしたいけど、ある方と相談してみるから」
「今はわからない?でも、きっと涼子でいられるわね」
「じゃ、いつも涼子でいてくれるの?」
「そうしたいけど、ある方と相談してみるから」
「今はわからない?でも、きっと涼子でいられるわね」
鏡の中にいる涼子に手招きをされた、涼子の手を握ると身体がフワーッと浮くように鏡の中に吸い込まれてしまった。
「涼子、キスしてもいい」
「あなたの好きなようにして」
「涼子、もう待てないよ」
「あわてないで、涼子はどこにも行かないわ」
「あなたの好きなようにして」
「涼子、もう待てないよ」
「あわてないで、涼子はどこにも行かないわ」
ベッドの上の僕達は、一人は涼子、もう一人は高橋だった。
僕は涼子になっていて、もう一人の高橋が息を荒くしながら涼子の唇に顔を近づけてきた。彼の手が涼子の身体を抱きしめている、少し体重を乗せているぶん彼の重さを感じていた。
僕は涼子になっていて、もう一人の高橋が息を荒くしながら涼子の唇に顔を近づけてきた。彼の手が涼子の身体を抱きしめている、少し体重を乗せているぶん彼の重さを感じていた。
二人の唇が互いを求め合い、涼子は彼の口の中に舌を入れた。
しばらくして高橋の舌が差し込まれ、涼子の舌と絡み合い興奮は高まっていく。
しばらくして高橋の舌が差し込まれ、涼子の舌と絡み合い興奮は高まっていく。
高橋の手がブラのホックをはずし、涼子が肩のストラップをはずし、ブラを取り去った。高橋の手がキャミソールを少しずらすと、涼子の乳首があらわになった。
しっとりとした高橋の舌が、右の乳首、その周辺、さらに左の乳首へと刺激を続けていた。豊満な乳房はないけど、少しふっくらした胸を刺激されると感じてしまう。
しっとりとした高橋の舌が、右の乳首、その周辺、さらに左の乳首へと刺激を続けていた。豊満な乳房はないけど、少しふっくらした胸を刺激されると感じてしまう。
「アアー、イイワ、続けて」
もう声を出して甘える涼子に、高橋は満足している様子。
もう声を出して甘える涼子に、高橋は満足している様子。
高橋の下半身に手をやると硬直したものがあった。ズボンのベルトをはずし脱がせた。高橋のものはもう硬直状態で先端からは、透明な液があふれてしずくがトローリと垂れていた。
口にイッパイの大きな彼の分身、口をすぼめ先端部分を舌で刺激しながら、さらに深くのどの奥に達するぐらい飲み込んだりしていると、高橋は時おり、よがり声を上げていた。
涼子は、同性だから分かる高橋が感じやすい部分への刺激をなおも続けた。高橋は勢いよく精をほとばしらせた。
ティシューで始末をしたあとで、高橋に強く抱きしめられた、そして涼子の上に覆いかぶさり、唇を重ねながら何かをささやいた。
「えっ、何?」
「・・・・」再び唇を重ね、彼はささやいた。
「ねぇ、よく聞こえなかったの、何?」
「僕の嫁さんにならないか」
「そんな、無理だわ」
「涼子が、嫌でなければ、僕は君と暮らしたい」
「えっ、何?」
「・・・・」再び唇を重ね、彼はささやいた。
「ねぇ、よく聞こえなかったの、何?」
「僕の嫁さんにならないか」
「そんな、無理だわ」
「涼子が、嫌でなければ、僕は君と暮らしたい」
「こんな女装の私でもいいの?」
「もちろんさ、君が望むなら、涼子が女性になる方法だってあるさ」
「そんなにまで、涼子のこと考えてくれていたの」
「そうさ、君を妻として迎えたい」
「もちろんさ、君が望むなら、涼子が女性になる方法だってあるさ」
「そんなにまで、涼子のこと考えてくれていたの」
「そうさ、君を妻として迎えたい」
そのあとは二人が熱く抱擁しあいながら、官能のおもむくままに一人は男として、涼子は女になりきって互いを求め合った。ショーツを高橋の手で脱がされ、高橋のものが挿入されるのを待った。タックして体内に納めていた涼子自身も、高橋の熱く固いもので前後に貫かれる時には、同じように揺れていた。
涼子の胸の上に高橋の汗が滴り落ちてきた、自分の中で感じてくれている喜びと、ひたむきに涼子に突き進んでくる高橋がいとおしかった。
「涼子、涼子は僕のものだ」
「ええそうよ、あなたのものよ」
「すごく愛してるよ、ああっ、もうイキそうだ」
「ええ、私も愛してるわ、涼子でいいの」
「涼子、涼子、イクよ、涼子は僕のものだ、ああっ」
「ええそうよ、あなたのものよ」
「すごく愛してるよ、ああっ、もうイキそうだ」
「ええ、私も愛してるわ、涼子でいいの」
「涼子、涼子、イクよ、涼子は僕のものだ、ああっ」
女として抱かれ、感じていた。そして深い悦びのなかで、意識を失っていた。
気が付くと僕は布団の上で、横たわっていた。自分の身につけているものを確かめてみた。コットンのパジャマにブリーフといういつもの姿だった。
洗面所で顔を洗ってみた、ファンデーションどころか口紅の痕もなかった。
その日の午後、本山のお勤めを終えて帰ってきた西川導師に相談した。
「もう、この修業をやめようと思うんです」
「途中であきらめる気持ちなのか、辛そうにしているほどでもなかったようだが」
「修業がつらいとか思ったことはありません」
「それでは、どうしてやめる気になったのだ」
「実は女装することをやめること、それがはじめの目標でした」
「それで、もっと話してごらん」
「途中であきらめる気持ちなのか、辛そうにしているほどでもなかったようだが」
「修業がつらいとか思ったことはありません」
「それでは、どうしてやめる気になったのだ」
「実は女装することをやめること、それがはじめの目標でした」
「それで、もっと話してごらん」
「ほんとうに女装をやめるかどうか、相談したい人が居るのです」
「それで、・・・」
「その人に、もう一度本当の気持ちを話してみたいのです」
「それで、・・・」
「その人に、もう一度本当の気持ちを話してみたいのです」
「佐藤君が、自分のことをどうするか、決めるのは自分しだいだ」
「はい」
「そこでひとつだけ、助言をさせてもらうよ」
「はい」
「そこでひとつだけ、助言をさせてもらうよ」
「ここに居る、わしの家内も実は男だったのだよ」
「佳代子さんが?」
「そうなんだ、佳代子は戸籍上は元は男、しかし誰も知らんのじゃ」
「そうだったのですか」
「佳代子さんが?」
「そうなんだ、佳代子は戸籍上は元は男、しかし誰も知らんのじゃ」
「そうだったのですか」
「修業の最後は、佳代子のもとでいろいろ試すつもりだったんだが、なかなか女装をやめるというのは難しい」
「男に生まれてきても、女に生まれてきても、人それぞれ歩む道も違えば、それぞれの望む幸せも違う。君の人生は、君自身が決めて歩むことが一番、ただし、迷ったらいつでも帰ってきなさい」
「男に生まれてきても、女に生まれてきても、人それぞれ歩む道も違えば、それぞれの望む幸せも違う。君の人生は、君自身が決めて歩むことが一番、ただし、迷ったらいつでも帰ってきなさい」
「ただし、わしに相談するよりも、佳代子のほうが相談しやすいかもしれないな」
次の日、プロレスラーのような教務主任に挨拶をして、道場での修業を終わりにした。
道場の受付の人に少し尋ねてみた。
道場の受付の人に少し尋ねてみた。
「教務主任は、ほんとうに女性なんですか?」
「アレでも子ども3人を産んで、しっかり育てられたのですよ」
そんなやり取りもすぐに終えて、マイカーを走らせた。窓からの風は少し初夏の風、日差しは十分強くなっていた。
「アレでも子ども3人を産んで、しっかり育てられたのですよ」
そんなやり取りもすぐに終えて、マイカーを走らせた。窓からの風は少し初夏の風、日差しは十分強くなっていた。
この修業の2ヶ月間、黙って見守ってくれていた佳代子さん、疲れた身体を暖かいお風呂と夜食で迎えてくれたこと、洗濯物と一緒に、おやつの差し入れをしてくれたこと、自動車のバッテリーが上がってしまわないように、エンジンを動かしてくれていたこと。感謝しています。
ここでの生活で、ストレスから解放されて健康な生活を送ることができたこと、夜もぐっすり朝まで眠れるようになったこと、やっぱりここに来てよかった、そう思うのでした。
後部座席には、涼子になるための道具を再び積み込んで、街に向かうのだった。
それが人生で、つらく苦しい選択になるかもしれないけれど、自分らしく生きるために。
妻を亡くした高橋の家には、可愛い涼子という女性がやってきた。
その女性は、家事だけでなく、高橋の経営する不動産の管理を手伝った。
それから1年が過ぎた頃、海の見えるチャペルで、高橋家と佐藤家のささやかな結婚式があった。
子どものない涼子と高橋は、1歳の子どもを特別養子として迎えた。
子どもを産んだ女性は「由紀」という。
《終わり》
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